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 §1 マスツーリングって?

 『マス』(mass)とは、「集団」、「大量」という意味合いがあり、『マスツーリング』は複数の人数で行くツーリングのことをいいます。
 何台いれば『マスツーリング』と呼ぶという定義はなく、たった2台でも走っている人達がそう思えばマスツーリングと言ってもいいと思います。
 時として、多くの台数がまるで競争するかのように順序を入れ替え、秩序無く走っているグループも見受けられます。これは単に目的地を共通とするツーリングの延長だと思いますが、本人達が「マスツーリングである」と思っている場合は、マスツーリングと呼んでもいいのでしょう。

 大切なのは、走っている間、一緒に走っている人との連携、共通の目的、チームワークを意識しているかどうかではないでしょうか。もちろん、そんなに堅苦しく考えなくてもいいとは思いますけれども、他人と一緒に走ることを楽しむ気持ちが一番大切でしょう。
 また、バイク暦がいかに長くても自己判断に頼ってスムーズにいかないケースも少なくありません。それはこれから挙げていくマスツーリングの基礎知識、マナーが必要だと謙虚に受け止めましょう。


§2 マスツーで大切なこと

 マスツーリングは、集団で走ることからどうしても自分のペースで走れることは少なくなります。仮に同じ排気量の者同士のツーリングでも、ライダーそれぞれにテクニック、楽しい(快適な)速度が異なります。
ましてや、ベテランと初心者では疲れ方も違ってきますし、排気量が混在していると一般的には小排気量の方が大排気量の人と同じペースで走るのは疲れるといわれています。

 マスツーリングで一番大切なことは、「相手を思いやる気持ち」です。この気持ちをみんなが持たないと、楽しいはずのマスツーリングが苦痛だけの物になります。リーダーに位置する人だけが、初心者や中間排気量の人のことを心配していても、他の人が同じ気配りを持たなければ同じ結果になりますので注意が必要です。


§3 マスツーって楽しいの?

 一言でマスツーリングの魅力を表現するのは難しいと思います。それぞれのライダーが、マスツーリングに何を求めているかでも違ってきますが、私は複数の人間で同じ時間を共有していることが楽しいのだと思っています。

 もちろんマイナス面もあります。なによりも集団行動が基本となることから、ソロツーリングのように気ままにコースを変えられない、自分の思うようなペースで走れない(休憩できない)などの多くの制約があることから、『不自由』が辛くなることもあるでしょう。楽しいか、楽しくないかは、何を求めるかで違ってきますが、他の人と一緒に走ることで得られるものが大きいので、一度はマスツーリングを経験して欲しいと思います。そして、どちらか一方だけではなく、適度に使い分ける方がより楽しいバイク・ライフを過ごせると思っています。

§4 目的地と距離

 マスツーリングの場合、距離を走ることや目的地よりも、他の人と一緒に走ることが主目的ですから、欲張った計画を立てるとうまくいかないことが多いと思いますので、ソロツーリングですと少し物足りないくらいの距離で計画する方がいいでしょう。

 厳密な決まりはありませんが、多くの人が無理なく楽しめることを考えた場合、1日の走行距離が参加者全員が自宅からおおよそ400km以内の走行で済むような目的地がいいと思います。ツーリングは、自宅まで帰り着くまでがツーリングですから、目的地が優先されるのではなく、メンバー全員が無事に帰宅できるような目的地の選定が大切です。


§5 ツーリングへ行く前に各自がしなければ行けない事

(1) 事前にコースなどを地図で確認しておく
 「マスツーリングは、付いていくだけだから気楽でいい」という人もいますが、主催者(リーダー)が全てやってくれる(連れて行ってくれる)と決めつけないで、事前にコースが決まっているのであれば、万が一、途中ではぐれても大丈夫なようにそのコースを地図でトレースしておく方がいいでしょう。
 予めコースが決まっていない場合は、自分ならどのようなコースをたどるかなどイメージを描いておくのも無駄ではありません。そして道中に休憩や食事にいいところがあるのであれば、アドバイスをしてあげられるよう事前にコースを把握しておくことも大切です。

 主催者(幹事)は、いろいろな事を事前に考えなければいけないので、参加者の協力があってこそ楽しいマスツーリングになるのです。主催者(幹事)だって、楽しみたいのですからできるだけ負担を軽くしてあげる事は大切です。

(2) 事前にバイクの整備をしておく
 マスツーリングは、当初にも書きましたが団体行動になります。一人のトラブルが、みんなのトラブルにもなります。本来、ソロツーリングであろうが、マスツーリングであろうが、事前にバイクの整備をしておく事は当たり前の事です。
 したがって、事前にバイクのチェックをしておくようにしましょう。突発的なトラブルは仕方ないとしても、集合地点について、ブレーキランプの玉切れでブレーキランプがつかないと言うのはみんなに迷惑がかかりますからね。

(3) 集合前にガソリンは満タンに
 集合前にガソリンを満タンにしておく事も忘れないようにしましょう。山間部のツーリングなどコースによっては、ガソリンスタンドが少ない地域を走る事にもなるので、スタートしてすぐにガソリン給油ではみんなのリズムが狂いますし、ガス欠では全員に迷惑がかかります。
 バイクの場合、4輪と違って満タンでの航続距離が少ないのが常ですから、ツーリング中に一度以上は給油が必要になります。また、同時に満タンにして出発しても、バイク毎にガソリンタンクの容量の違いや燃費の違いが出てきて、参加者全員が常にガソリン給油のタイミングが同じになる事はありません。

 このことから、一人ずつガソリンが無くなる度に給油をしていると時間に無駄が出てきます。常日頃から、ガソリンを入れるたびに速度メーターに付いているトリップメーターを「0」(ゼロ)にする癖を付け、満タンにしてからガソリン給油が必要になる距離を把握するよう心がけておきましょう。


§6 出発前に(集合場所ですること)

(1) 目的地、走るコースの再確認
 参加者全員がその日に走るコースを把握しているに超した事はありませんが、毎回同じコースを走らない限り全員がコースを把握している事はないでしょう。だから、目的地の再確認は絶対に必要です。
 次に走るコースの確認ですが、例え参加者全員がコースを知っていても、次の休憩ポイントまでのコースの確認でいいでしょう。ツーリングでは、時として予定の変更も必要になりますので、休憩ポイント毎に次のポイントを確認する方が混乱もなくスムーズに走れると思います。

(2) 走る順番の確認
 マスツーリングの場合、それぞれが思い思いの位置で走ると、とっさの時に混乱を招きますし、なかなかスムーズに行きません。予め走る順番を決めておく事は大切です。
 後述してありますが、マスツーリングでの順番は、運転レベルやバイクの排気量、道順(コース)の熟知度などを考慮して決めます。マスツーリングをスムーズに行う上で一番大切な事です。

(3) 帰宅時間の確認
 参加者それぞれに都合があると思いますので、念のために当日の帰宅時間を確認しておく方がいいでしょう。時間に余裕を持っていても、予定通りに事が進むという保証はないので、時として予定の変更もしなければいけないので、幹事は予め参加者の都合を聞いておき、必要に応じてコースの修正をすればいいでしょう。


§7 マスツーリングでの走り方(千鳥走行)

 マスツーリングの走り方の基本は、『千鳥(ちどり)走行』です。これは、交互に二列縦隊で左右の列が車間の半分ずれて千鳥の足跡のような配列になることからこの呼び名があります。
ソロツーリングですと、道の真ん中よりやや左側を走るのが普通ですが、数台のバイクが同じような走り方をすると、縦に長くなってしまいます。
 仮に10台のバイクが、それぞれに10mの車間距離を開けたとしたら、先頭と最後尾の間が長くなりすぎて信号などで分断されることが多くなってしまいます。しかし、『千鳥走行』ですと、同じ車間距離を開けていても全体の列の長さを短くすることができます。
 『千鳥走行』は、単純に列の全長を短くするだけではなくいろいろな利点があり、1)前のバイクを視認しやすいのと全体の動きが把握しやすい。2)前方のバイクがウインカーを点滅させても早く確認できる。3)前方のバイクに何かが起きても回避がしやすいなどの利点もあります。加えて、後続の車が無理に追い抜こうとすることを牽制する効果もあります。

 具体的な走り方(バイクの間隔)は、先頭が中央よりを走ると、2番目は路肩側を走ります。この時2番目のライダーは、斜め前方のライダー(1番目)のバイクのバックミラーに、前方のライダーのヘルメットが写る位置を走ることが重要です。
 なぜこの位置を走る必要があるのかというと、前方のライダーにとって、斜め後方(2番目のライダー)が自分の死角を走られると不安なのと危険だからです。そして、3番目のライダーは、同様に2番目のライダーの死角に入らないように注意しながら、センターライン寄りを走ります。
 具体的には 1)中央 2)右 3)左 4)右 5)左 …となります。最後尾は危険回避の意味で中央がよいでしょう。最後尾が左側に寄っていると、無理解な車が追い越しをかけてくる事があります。

 なお、集団で走っていても、合流などで自動車などが割り込んでくる事もあるでしょう。その際は、意地を張らずに前に入れてあげた方が良いでしょう。
 自動車側も、前後が集団である事は合流する時に気がついているはずですから、遠からず車線変更などをするなりして自ずから居なくなることが多いです。



§8 マスツーリングでの走る順番は?

 走る順番は、基本的には細かなルールはありません。参加者が安全に楽しく走れればそれでいいとは思います。ただ、参加人数や参加者の経験度でも変わりますので一概には言えないものの、基本的な考え方はいくつかあります。なお、全てを上げるときりがありません。

(1) 先頭(引率・先駆け)
 このポジションは、人数が変わろうと考え方は変わりません。先頭を走る人は、マスツーリング(以下、グループ)の要になりますので、基本的にはこれから走る道(ルート)をよく知っている人(企画者)がこのポジションを走ります。
 このポジションは、グループ全体の走行速度、休憩・給油のタイミングを考えなければいけませんから、責任感も重要です。普段一人で走っているのと違って、追い抜きも後続のことを考えないといけない(むやみやたらと追い抜く人はダメ)ので、このポジションはできるだけベテランが走る方(伴走でも良い)がいいでしょう。

(2) 最後尾(しんがり)
 このポジションも、基本的には人数が変わろうと考え方は変わりません。「ただ付いていくだけだから一番楽な場所だ!」と思われがちですが、先頭に次いで重要なポジションなので、このポジションもできるだけベテランが走る方がいいでしょう。なぜこのポジションが重要かというと、常にグループ全体を見渡せる位置にいるわけですから、仲間の走り方を見て、疲れていないか、無理をしていないかも常に見ておく必要があります。

 その際、必要に応じては、信号待ちなどで先頭にペースを落とさせたり、休憩を促したりする必要も出てくるからです。先頭は道順などに注意を割かれている上に、先頭から見える後続車はさほど多くなく、最後尾までの全ての後ろの人に気配りができないため、この最後尾のポジションの人がグループ全体の状態を把握しておかなければいけないのです。
 もちろん、当日のコースもおおよそを理解&把握して、それと全体の走りの調子をかんがみ、コース変更なども提案するなども役割に入ってきます。

(3)2番目のポジション
 先頭が道に不慣れな場合
 本来、先頭に立つ人がコースを把握している事が理想なのですが、全体を統率する事ができる人がコースを知らない場合やコースに自信がない場合は、このポジションに補佐役として走るコースをよく知っている人が付くことになるでしょう。しかし、理想は参加者全員がそれぞれルートを把握するのが一番です。

(4)その他のポジション
 まず、初心者や(マスツーリングの)経験の少ない人などがいれば、先頭車がそれらの人の動向を把握しやすく、ペースを調整しやすいので、なるべく先頭に近いポジションに位置するほうが良いでしょう。
 ライダーのレベルがほぼ同じであれば、特に決まりはありませんが、大切なのは、交差点進入時に黄色信号になった場合、無理をして前の人に付いていかずに信号に従うなどの自制心を持つことでしょう。
 また、前のヒトの後を付いていくだけの意識でいるヒト。何処を走って何処へ向かうのか考えないヒトは隊列が分断されても無関心を装いがちです。フォローされる場面を無闇に増やして全体の進行がどんどん遅れてしまいますのであまり迷惑をかけないように状況判断を働かせましょう。

 台数が10台を超えると、どうしても走行中に信号待ちや合流で間に車が割り込んだりなど隊が分断されてしまう事があります。
 数台ごとにベテランなり無線機搭載車なりを配置し、必要に応じて数台の小グループで行動できるような配列もされていると安心です。
 また、全員がそろって走っていても先頭から最後尾までが同時に車線変更できるほどのスペースが取れないこともあります。その際は、中間位置にいるメンバーが先導車の意図をくんで後方からブロックするなど、中間のポジションにいても先導車に協力できる事はいろいろあります。
 それらの中間のポジションのメンバーがどのように働くのか?が、ツーリングをスムーズにする鍵を握っていると言っても過言でないのです。


§9 ワィンディングでの走行方法

(1) 基本スタイル
 『8. マスツーリングでの走り方』で、「基本は『千鳥走行』で」と書きましたが、あくまでそれは基本であって、緩やかで見通しのいいコーナーが続く場合は『千鳥走行』で問題がありませんが、見通しが悪いワィンディングでは、1列縦隊で走ります。
 これは、コーナーを抜けたところで、何かトラブルが発生していた場合や急に道が狭くなった場合などでは、例え左右の列が車間の半分ずれていても二列縦隊だと危険だからです。
 コーナー侵入時には危険回避ができる体制に持っていき、ワィンディング区間が済んで直線になった際にはまた千鳥に戻ります。このように事故を起こさないように各自が備えることで、楽しいマスツーリングができる訳です。

(2)注意する事
 ワィンディング区間で特に意識して注意しなければいけないのが、それぞれのライダー技量によってコーナーリングスピードが異なることです。ストレート区間では、さほど差が開きませんが、ワィンディング区間になると列がばらけることが多々あります。
 そのような場合、特にビギナーは隊列を乱してはいけないとか、コーナーが遅いから後続に迷惑をかけるとか思いがちになるようですが、そんな事は一切気にする必要がありません。
しかし、現実にはゆっくり走っているバイクにとって後ろから車間距離をおかずに走られると相当のプレッシャーになってしまいます。逆に、前のバイクが自分のペースより極端に遅い場合、距離を置こうと意識しても車間距離が短くなってしまう事はあってしまうことなのです。

最悪なのは、それらの相互のプレッシャーから無理をして、事故が起きてしまうことです。

(3)トラブルを未然に防ぐために
 ワィンディングが長く続く場合、前車が遅いと自分のペースを維持できなくなる(リズムが崩れる)人もでてくる場合もあるでしょう。
 そうした場合は無理に前車にペースを合わさずに、コーナーとコーナーの間の安全な区間で、パッシングライトやホーンで合図をしたり、手で合図をしたり、ハザードランプを点けたり…など意思表示をしたのち順序を入れ替えましょう。抜いた人も抜かれた人も気が楽になる場合が多いので、時には無理に順序を守る事なく、臨機応変が大切です。ただ、順番を入れ替わる前には相互に相手の動向についてキチンと確認が取れていないとならないのは言うまでもありません。

 しかし、最後尾の人だけは絶対に自分のポジションを入れ替えてはいけません。万が一、何らかのトラブルが発生した場合に対処できるのは、やはりベテランなので最後尾の人のポジションだけは重要で無線装備者が一番望ましいです。

 なお、走る順序の項「8-(2)の最後尾」でベテランが最後尾を走るように書きましたが、ベテランになるほど遅いことは苦にならなくなるのです。

(4) ワインディングでのフリー区間の設置
 ビギナーに限らずワイディングの楽しみは様々で、コーナーリングを軽やかに駆け抜けることが楽しみのライダーもいれば、景色を楽しみながら走りたいライダーも同じクラブの仲間にはいます。ですので、ワインディングなどでは隊列にこだわらずに再集合場所を指示して自由に走ってもらう「フリー走行区間」とする事も、安全にツーリングを終わるテクニックの一つになります。

(5) ワインディングが苦手の方へ
 時折、「ツーリングでコーナーが続くと、どうしても遅れてしまって、他の人の迷惑になるんじゃないだろうか?」と心配する人がいます。「大勢(集団)で走ることを楽しむために参加している」と言いきれる人ばかりですから、仮にペースが遅い人がいても責めたりすることはありません。本人が思っているほど周りは気にしていないものなのですよ。

 ツーリングの楽しみは、サーキットと違い速く走ることではなく、時間や風景を共有する事にあります。
 そして、他人のペースに合わせるのが苦手な人は、基本的にマスツーリングに参加しないと思います。だから、多少遅くとも自分のペースの中で余裕を持って走り、楽しむことが大切ではないかと思います。一人でも楽しくない顔をしていると、その方がみんなの気分を害します。だから、けっして無理をする必要はありません。無理せずに楽しんだ後、別れ際に「楽しかったのでまた誘って下さい!」と言いましょう。その言葉が聞ければ十分なのですから。


§10 雨の走行

 ツーリングに出かける前は雨が降っていなくとも、道中で雨が降ることもあります。雨天時の走行も基本的には晴れの時との違いはありませんが、千鳥走行でも車間距離は晴れよりも広く空けます。
 路面が濡れていると、マンホールの蓋も危険なものになるバイクにとって、車間距離を空けることは事故を予防する上でも大切です。そして、雨による水滴で視界も悪くなるので、晴れの日の倍以上の車間距離を空けるくらいの方がいいでしょう。
 なお、ツーリング途中でレインウェアに着替えるタイミングは、一人で走っているときより早めに決断を下すようにしましょう。一人ですと、路肩でレインウェアを着替えることはさほどスペースを必要としませんが、人数が多くなるほど広い場所を必要とします。
 また、雨が強くなってからだとパニックになることもありますし、狭い路肩に多くのバイクが止まると危険なので注意が必要です。したがって、マスツーリングの場合は、必ず路肩の広い場所等の安全な場所を見つけて着替えをするようにしましょう。


§11 渋滞での対応

 一般道を走る上で渋滞は避けられません。例えば、片側2車線の道で混雑が始まると、空いている車線へ移りたくなるのが人情です。しかし、1台で走っているのならいざ知らず、複数台が車線変更を頻繁に繰り返したら後ろの人ほど大変です。
 例えば、先頭は「隣の車線が空いている」という理由で車線変更をしても、後方にとっては次の交差点で曲がるための斜線変更なのか、空いている車線への移動なのかがわかりません。ましてや、車線変更を繰り返すと、後方の人ほど大変ですし、疲れてしまいます。
 また、信号待ちなどで、車が停滞している横をすり抜ける場合も似たようなことが言えます。仮に先頭が信号待ちの前に出られたとしても、後方は車の横に止まらなければならないことは良く有りますし、信号が変わって車が動き出すと、後方は危険にさらされる場合もあります。後方の人も臨機応変に判断して無理についていかずに交通が流れだしてから先頭へ追いつけばいいでしょう。

 先頭は、常に自分が行う動作が、最後尾のメンバーまで安全に同じ事ができるかどうかを考えながら行動しなければいけません。渋滞時には特にこのことを忘れがちになるので注意して下さい。


§12 車を追い越すとき

 前車が遅い車で、「先に行け」と路肩に寄ってくれる場合がありますが、そのような時には素直に好意に甘えて追い越しをしていいのですが、できることなら前車へ「ありがとう」の意味で、追い抜きざまに左手を軽く上げて挨拶をしましょう。そうすることで、追い抜かれた方も気持ちがいいし、次に同じようなケースがあってもきっとバイクに対して道を譲ってくれるでしょう。
 その何気ない行為が、結果として他のライダーのためにもなるので、必ず追い抜きをしたら「ありがとう」の気持ちを込めて、挨拶をするようにしましょうね。


§13 帰宅したあと

 メールなどで無事に帰りついたことを掲示板(BBS)へ知らせてもらえれば、ベターでしょう。企画者や心あるメンバーにとって最後まで気が抜けないのが全員無事帰着の確認です。
 企画者とっては、コース設定や下見、先導などでの苦労が、吹っ飛んでしまうくらいそのレスポンスがとても嬉しいものです。

反省とお断り

 マスツーリングは様々な人間が一緒に同じ目的地に向かって楽しむものですが、時として無意識に他人に心配をさせたり気分を害したりすることがあります。時間が経つにつれお互いの距離が縮まれば楽しい事も増えていくでしょう。
 そうして慣れ合いになって気が緩み集団行動に相応しくない軽率な行動やマナー違反は迷惑の元です。
 特にクラブに慣れていくに従って人のことより自分の楽しさに執着しがちです。面倒な事は人に押し付けて楽しいことだけ共有したいという人はツーリングクラブに限らず「招かれざる客」です。

 その都度現場で細かく注意できませんし、時間や雰囲気に余裕がありませんから、たいていは受け流しますが、帰ってから自分に反省点がないか思い起こしてください。また何かあれば主宰者に遠慮なく報告してください。

 この数年時折見かけられるケースですが、ソロで経験を積んできた「中高年ベテランライダー(自称)」の方がクラブに入会して、その後トラブルになることがあります。
 一番の原因は、「ソロツーリングの経験を積んでいる」からといっても、それが「マスツーリングでも経験を積んでいるとは言えない」事を「ベテランライダー」の方が充分に認識できていない事にあるようです。
 マスツーリングにおいてベテランライダーには「前後のライダーの状態をチェックし適切な車間距離を取り、かつ全体の状況を把握しながら”自分にはなにができるか”常に適切に判断を下し状況に応じて柔軟に対応し実践しながら走ること」が求められているのです。
 経験があるので「千鳥の位置」をキープして「和を乱さずそれなりに走れている」ため、その「期待されているはずの役割が存在する」事に気がつかず、漫然と走り続け…ある程度慣れたからといって、期待される役割を果たさないままベテランと同じような振る舞いや発言すると、他のメンバーから顰蹙を買ってしまうことになります。
 バイクでの走りのみならず、人間関係などもそのクラブなりのペースや雰囲気があります。
 全てにおいて、それまでの自分個人のやり方とは違う(たいていは非効率的に思われる)ことに対して、親切心からアドバイスを下さったりする事があったりしますが、クラブの歴史があれば、何らかの理由で積み重ねられた結果としての「今」であるという事について、少し想いをめぐらしてもらえれば…と思います。

ライダーとしてはベテランかもしれません。しかし、クラブのメンバーとしては新人なのです。
 
…郷に入れば郷に従え…。たしか、そんなようなことわざ、ありましたよね。

 いままで綴ってきたこの「マスツーリングのガイド」は、もちろん、絶対のルールと言うものでは有りません。
 お互いに、何かメンバーからの忠告や助言がでてきても、いちいちムっとせずにチームワークのために自分が至らない部分を素直に聞き入れましょう。それらが「しんどいと思う方」や反抗的な方は、人を思いやれないバイク乗りであって、どうぞソロツーリングを楽しんでください。


※ このページは Sport Touring Club RAN さんの「マスツーリングって何」のページを元に、ちょっとだけ編集長いわさきがPopcornに合わせて手を入れて作成させていただきました。 RAN主催者ケンゴさま、ご協力いただき本当に有難うございました。

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